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Vol.5 イメージアップコーディネーターのチカラ

~その人の持っているいいところを最大限引き出す~

教えてくれた人

矢吹 朋子 (やぶき ともこ) 

ブラッシュアップStyle主宰 イメージアップコーディネーター、パーソナルカラー&メイク講師

<プロフィール>

商社勤務、派遣での貿易事務、ブライダル業界を経て、「人は外見力で気持ちまで変わる」事を実感し、パーソナルカラーのアナリスト&メイクアップ講師として独立。18年間で5000人以上の個人向けカラーコンサルティングを行う。 現在は「パーソナルカラーのアナリストのスクール」や「メイクアップ・スクール」も開催し、後進の指導にも力を入れている。大手海外ブランド等のコレクションの受注会などにもカラーリストとして参加。企業研修講師として、大手企業での研修やセミナー等も多数経験。2016年4月には「美人だけが知っている似合う服の原則」(主婦の友社)、「夢をかなえる考え方」(共著、宝島社)も出版。

<イメージアップコーディネーターとして大切なチカラは何ですか?>

1. その人の持っているいいところを見つけて引き出す力 観察力

その人の一番素敵なところを引き出すのは得意ですし、この仕事においては大事だなと思っています。お客様に単にカラーやメイクの知識を押し付けるのではなく、お客様の悩んでいることに寄り添いながら、その人のいいところや魅力を引き出し、悩みを上回るいいところにフォーカスするような解決策のご提案を大事にしています

例えば、寂しげに見えてしまうという悩みのお客様に対し、「せっかくこんなに目の色がステキなのに、この色をこうやって着ることで寂しげに見えちゃったらもったいないじゃないですか?だったらこの自分に合う色を着て、目の色を輝かせてあげるともっと華やかに見えますよ。」みたいな感じです。どんな人でも必ずステキなところがあります。髪の毛の色がきれい、肌の質感がきれい、目の色がきれい、って。それを瞬時に見つけられるか否かは大事ですね。

ご本人は、悩みばかり気になっているから自分のいいところを見つけられていない方が多いですが、人は人のパーツを見ているわけでなく、全体性を見ているわけです。その人の良さを活かしていい印象を持ってもらえるようにするのが大事だなと思います。

2. ポジティブさ 楽観性

私が一番願っているのはお客様に「元気になって帰ってほしいな~」ということ。もちろんきれいになってほしいとは思っていますが、実はそれ以上に「明日も楽しいことがきっとある、元気になったぞ!」って帰ってもらいたいんです。だからこそ、自分自身が日常からポジティブであることは心がけています。

マインドがすべてを引き寄せると私は思っています。初期のころは集客に苦労しましたが、ある時から集客の心配をするのをすぱっとやめました。そうしたら、本当にお客様がいらっしゃるようになって。たとえお客様が少ない時期でも、仕事はいつか回ってくるだろうと、だから「この時間は忙しくなる時のための充電期間!」「この時間を使っておいしいものを食べに行こう!」「旅行に行こう!」「こんな時ぐらいしか私空いていないじゃない!」って行動するようにしています。

私の仕事は人に楽しみを与える仕事、パワーをあげる仕事。だから、自分自身にもパワーを充電することは大事。私のところに来てくださったお客様が、楽しんで帰っていただけるように、私自身が楽しくあるように常に心がけています。

3. 負けず嫌いなチカラ 負けず嫌いさ 粘り強さ

カラーやメイクのセミナー講師のお仕事を頂き始めた頃、お仕事を下さった方に「ぜひさらに大人数のセミナーなどもご紹介ください」とお話ししたところ、「あなたはメイクを教えることはできるかもしれないけれど、大人数を前にセミナーで“教える”というスキルがまだない、だから大きいセミナーを任せるのはどうかしら?」と言われたんですよね。それで私、ガーンと来て、「私できないって言われたんだ、私だって頑張れるぞー!」って、企業研修講師の養成スクールに参加して勉強したんです。その当時はともかく悔しくて、勉強したんですが、でも、奮起させてもらったおかげで、私は生き残れたのかなとも思っています。

その当時ビューティ系で企業研修をしっかり勉強している人もあまりいなくて、メイクと講師を一人で両方できる人が少なかった。かつ、私は自分のOL経験から、実感値のあるオフィス仕様メイクができた。ビューティ×オフィスメイク×企業研修講師という競争相手の少ない未開拓なところで勝負できたのは、今振り返ると大きかったと思います。当時はただ、悔しかっただけなのですが、笑。

集客に苦労していた独立初期の頃にしてもそうですが、厳しい状況に置かれると燃える自分がいます。負けず嫌いだからこそ18年間この仕事をやってこれたという部分はありますね。

いつも笑顔の矢吹さん。楽しいことが大好きで、ポジティブパワーが全開だ

<仕事内容を教えて下さい>

日々の仕事の中で一番多いのはやはり、個人向けコンサルティングのお仕事ですね。パーソナルカラーは一度診断されたら、その結果は変わることはないので、一生もののコンサルティングなのです。だからこそ、リピーターがいない仕事なんですよね。でも、長くやることで裾野が広がり、10年以上前のお客様がお友達をご紹介くださることもあるんです。御蔭様でご縁で成り立っている仕事ですね。

セミナーは月数回ほど、企業研修などでお声掛けいただきます。

カラーやメイクのスクールは少人数制なのですが、結構大変なので年数回実施している状況です。カラーは、考え方を学ぶだけでなく、最終的に人を見て感覚で覚えてもらうものなので、教える方も大変です。

あとはブログを書いたり、本の執筆もしたり、そこからのご縁で取材をしていただくこともあり、そういったことの対応もあります。

個人コンサルティングだけでなく、「ビューティ × オフィスメイク × 企業研修講師」

という競争相手の少ない未開拓なところで勝負もしてきた

<一日の仕事のスケジュールはどんな感じですか?>

10:30-13:30 個人コンサルティング お母様とお嬢様2名でのパーソナルカラーのレッスン 

13:30-14:30 ランチ、次のお客様のお迎えをするための準備

14:30-17:30 個人コンサルティング OLの方お友達2名でのパーソナルカラーのレッスン

18:00-19:30 明日の準備、メール対応、ブログ更新

19:30 帰宅 食事、入浴、家事

22:00 自宅にて執筆、事務仕事等を行う

1:00 就寝

<なぜイメージアップコーディネーターになられたのですか?>

新卒で商社の貿易事務に就き、その後、結婚退職し、3年間夫の転勤につきあいシドニーへ。帰国後、仕事に就こうとしたものの、当時は不景気ということもあり、正社員には容易くはなれず、派遣の仕事に就きました。ともかく自立していたかったんです。シドニーでの専業主婦経験を経て、お金を稼げないと夫婦でも対等な意見が言えないな、自分で稼いで自分のお金を持つことで自由に好きなものを買ったり、いろいろなことをしたいなって思ったんですよね。

ところが派遣で働くことを選んだものの、当時は人間関係や仕事で嫌なことがあると、契約期間満了でどんどん職場を変えていたので、職場を転々としていました。そうしているうちに私気づいたんです。当時40代50代で派遣の仕事、貿易事務の仕事をしている人はどの職場にいってもいないということに!「このままだと私はいつか切られちゃう、手に職をつけなくちゃ!」そんな焦りから当時雑誌であった「ケイコとマナブ」を手に取り、そこでブライダルコ―ディネイタ―という当時すごく目新しかった言葉を見つけて、ブライダルの学校に通いだしました。

おもしろそう!って直感的に思ったのと、新しいってことは、始めたら一番バッターになれるじゃないですか。もちろん知られていないから大変かもしれないけれど、競争相手は少ないかなと思うと、そこに勝機があるかな、と。ところが始めてみて、これは一人で独立はできない仕事だと悟ったんですよね。

それでもしばらくは、平日は派遣の仕事、夜はブライダルの勉強、土日はアルバイトとしてブライダルコーディネイターという二足の草鞋をはいていました。そのうち、ドレスをアドバイスできるようになるためにと、パーソナルカラーの勉強も始めたのですが、カラーの勉強をするようになり、カラーなら独立できるかもしれないと気づきました。自分には人を雇うのは無理そうだけれど、パーソナルカラーなら会社を構えなくても一人でできる、目新しい、じゃぁこれをやってみよう!と。ところが、メイクも習い、パーソナルカラーで独立したものの、パーソナルカラーは、新しすぎて、誰も知らなくて、お客さんが来なくてあら大変、みたいな時もしばらく続きました。

でも、不思議とパーソナルカラーについては大変でも一度もやめようと考えたことはありませんでしたね。いろいろやって、たどり着いたのがカラーの道でしたし、派遣満了で職場を転々としていた経験から「結局辞めても何も変わらない」「嫌で投げ出すと、また最初から積み重ねなくてはいけない」みたいなのを実感していたところもありました。あと、「勉強し資格も取得したものも活かさず、またキャリアチェンジしたら、無駄だらけになっちゃう」みたいな気持ちもあったから踏ん張りもきいたんでしょうね。

それにこの仕事は自分の特性にあっている仕事だなと思うんです。もともと美術部だったので、絵を描くことに似ているメイクは得意ですし、人をきれいにし元気にしてあげるのは本当に楽しいんですよね。加えて、新しいことや変化も大好きなので、リピーターがあまりいないこの仕事だからこその新しいお客様とのたくさんの出会いもとても嬉しくワクワクするのです。「できる」や「うれしい」がこの仕事の中にはたくさんあるんです

個人コンサルティング5000人以上の経験値で、

スプリング、サマー、オータム、ウィンターのパーソナルカラーとベストカラーを診断する

<今まででもっとも大変だった経験はどんなことですか?>

やっぱり独立してから5-6年間のお客様集客ですかね。

最初の頃は、友達に「顔かして」とお願いして練習台になってもらったりもしていました。派遣の仕事をしながら、自宅でレッスンをやっていましたが、お客様を地元の駅まで車で送迎したり、週末どちらか主人には出かけてもらったり、個人宅へ出張してグループレッスンをさせて頂いたり、区の会議室を抽選で申込み、とれたらインフォメーションを流したり、なんてことを、最初の3-4年はしていましたね。でも、ある時、ずっと派遣と並行して片手間のようにやっていたのでは、自分の覚悟も定まらないと思いたち、意を決して、派遣を辞めてカラーに絞り、退路を断ったことで、集客に対しての意識も行動も変わりました。

区の会議室をとる回数も増やし、まだそのころはネット検索もない時代でしたから、ビラを作り、会う人会う人に渡したり、友達にはがきを出したりしていました。周りのOLの友人が応援してくれて、お客様を紹介してくれたことは本当に大きかったです。値段も安くし、敷居も低くしていましたから、「値段の割におもしろかった」ということで来て下さったお客様が新たにご紹介を増やしてくださったり、という感じでした。そのうちだんだんネットが普及してきて、ブログが集客につながることを知り、その頃はブログをすごく書いていました。

そして、“ペタ”をともかく貼っていました。カラーに興味を持ってくださいそうな方がよく見そうなかわいいものやおいしそうな食事をとりあげている人気ブロガ―のブログをチェックして、そこに“ペタ”をしている人のブログにペタペタペタペタしていましたよ!私の手相には後からできた“ペタ線”があります、笑。パソコンのヘリに手を置いて、ぺたぺたしていた“ペタ線”です。今は起業家セミナーとかあるけれど、その頃はそんなものもなかったから、やり方もよくわからないけれど、「ともかくペタを貼ろう!」とペタを貼っていました。でも、ブログ&ペタがきっかけで、関東だけでなく京都のアロマの先生に、お声掛けいただいて講座を開いたりすることもできました。あの頃は本当にブログでお客様を集客していました。

何しろ基本リピーターなしの仕事ですから、みんなに地獄のような仕事とよく言われましたが。まぁ、でもやればやれるんですよね。この仕事で長続きしない方がいるのはやはり集客の問題なんだと思います。表参道も一時期数人のカラーの先生がいらしたんですけど、今は専門でやっているのは私だけですね。だから根気強く取り組まないと、生き残れない体質の仕事ではあるんですよ。なので、私体育会系ビューティとも言われます、笑。

<逆に一番嬉しかった経験はどんなことですか?>

友人に助けられたことが大きいですよね。特に東日本大震災の時のことはよく覚えています。青山の電気も全部消えてしまい、個人コンサルもセミナーも全部キャンセルになり、スケジュール帳もバツだらけになりました。お客様は怖くて電車に乗れませんっておっしゃるし、今後の家賃もあるし、さすがの私ももうどうなっちゃうんだろう、と思っていた時があったのですが、そんな時、高校時代の友人が「今すごく苦しいでしょ。友達集めてあげるよ」って。「こういう時に楽しく生きなきゃどうするの!」ってお友達を連れてきてくれたのが、本当にありがたいなって。連れてきてくれた友人のお友達だって、もしかすると外に出たくないって思っていたかもしれないけれど、来てくださって、さらに「私も絶対友達を連れてきますから!」って、その後お友達を紹介して下さって。。。すごく救われました。こんな風に応援してくれる人がいるから、大丈夫、きっとまた立ち直れるって、自分に言い聞かせることができて、また私も動き出すことができました。

自分が人にすごくよくしてもらったから、自分がその人に返すことが出来ないとしても、他の人にできる限り返すように頑張ろうとはしています。お一人お一人の個人レッスンの時だけでなく、あらゆるお仕事、人から受けた相談事や、いろんなシーンで自分の範疇の中で答えが出せるものはできるだけ返すようにしていますね。

私は本当にそれは大事にしていますね。人に助けてもらえたことがあまりに多すぎて。

<仕事のやりがいや面白みはどんなことですか?>

お客様が「元気になりました!」と帰って下さるのが一番嬉しいですし、やりがいです。あとは、レッスンを受けた後に、彼氏ができて結婚しましたなんてご連絡を頂いたりするのも嬉しいですよね。けっこう成婚率高いんですよ、笑。「彼氏いないんです~」といらっしゃったお客様も、自分に合った色を付けるようになると、やっぱり褒められることも多くなり、気持ちも変わりますよね。そして気持ちが変わると行動も変わっていくんですよね。それにベーシックカラーばっかり着ていてはたくさんの人の中でも埋もれてしまうけれど、きれいな色を着ていると「あっ、きれいな人来ているな」とか「感じのいい人来ているな」とか思っていただけるじゃないですか。「王子様に見つけてもらうためにも、きれいな色着ましょうね~」ってお客様をお見送りするんですよ。お客様も私のアドバイスを聞いて下さって、明るいマイカラーを着るようになったら、なんだか声をかけられるようになって、ご縁ができて、とんとんとんと話が進んで、結婚しました、みたいな、そんなお話が結構合ったりするんですよ。

他にもご親戚を皆さんご紹介くださって、私、このお宅の親戚中知っているみたいなこともあったりします。家系図かけるぞ!みたいな、笑。最初お母様がいらしていて、息子さんの結婚式前にお嫁さんを連れてウエディング用にコンサルティングにいらっしゃったりとか。ご家族とのつながりができるのも楽しいですね。一期一会の出会いですけど、そうやって親戚中とか知り合いの知り合いとか根をはったように広くいろんな方とご縁を持てるのも楽しいですし、この仕事の面白みの一つですね。

魅力を最大限引き出すカラー&メイクアドバイスだから結婚につながることも!

<イメージアップコーディネーターの仕事の未来はどうなっていくと思いますか?>

今は女性がメインですが、これからは男性がたくさん興味を持たれるんじゃないかなと思っています。個性の時代になってきたからか、普通の男性会社員の方がネット検索でいらっしゃいますからね。あとはもうちょっとシニア女性にも受けてもらえればと思っています。御嬢さんに連れられていらっしゃるお母様とかは最初あきらめていらっしゃるんですけど、アドバイスするとすごく楽しそうなんですよ。女性はいくつになっても美しいのは本当は楽しいはずなんですよね。ご高齢の方の潜在的なニーズは大きいなと思います。

<今の仕事と同じように向いていそうな仕事はありますか?>

起業している女の子のマインドのヘルプとかはもう少し自分が成功したらやりたいなって思いますよね。ポジティブになってもらえるようなそういう関わりはポジティブな自分の向いていることですよね。

キャリアカウンセラー舛廣純子の シゴトのチカラ考察

矢吹さんのレッスンを私も受けたことがありますが、矢吹さんに勧められた私のベストカラーサーモンピンクを着ていると、ほぼ100発100中の割合で「きれいな色だね」「似合うね」と褒めてもらえることができ、だからこそ、誰かに色を褒められると「自分のパーソナルカラーを見てもらったの、よかったら先生をご紹介するよ」と自然と口にし、何人かの友人を私も矢吹さんにご紹介したことがありました。でも、私が何気なくご紹介していたのは診断の的確さからだけだったのではなかったのかもしれません。

矢吹さんのレッスンにある「楽しさ」や「嬉しさ」は一種のアミューズメントであり癒しなのだと思います。数人でグループレッスンに行き、皆でお互いの良さを再認識したり、その人に合う色の布を顔に当てた瞬間の変化を矢吹さんを交え、みんなでワ―とかキャーとかいいながら楽しめる、そんな楽しい時間を味わってほしいなと思うから、私もご紹介していたんだなと改めてこのインタビューを通して実感しました。

「嬉しく、楽しく、パワーをもらえるカラーのレッスン」そんなレッスンを提供するために、必要なのが矢吹さんがあげた「その人の持っているいいところを見つけて引き出す力」「ポジティブさ」。その人の欠点を上回るその人の気づいていないいいところを見つけてあげ、楽しい空気感で包み込む。ネットや本でカラーの情報はたくさん見られるようになったけれど、大切な人に「一度行ってみて、直接みてもらうといいよ」と言いたくなるのは、その矢吹さんが提供する付加価値がそこにあるからなのだと思います。

そして矢吹さんの「人に対して一生懸命で誠実な姿勢」や、「人からの依頼に全力で応えようとするそのお人柄」が「信頼できる人だから紹介したい」「この人を応援したい」と自然に思わせ、ご縁がご縁をつなぐようなご紹介の連続を生み出すのだろうと思いました。必要なチカラには矢吹さんご自身は挙げられませんでしたが、この「関係構築能力」「感謝力」の高さが、矢吹さんが表参道という激戦区で、リピーターのほぼいないこの仕事で勝ち残られてきた一つの大きな要因ではないかと思わずにはいられませんでした。もちろんご自身があげられた「負けず嫌いさ」や勝機を読むその天性の「ビジネスセンス」もフリーランスでお仕事をしていくには必要なチカラ。勝ち残る人には勝ち残る人の理由がある、改めてそんなことを感じたインタビューでした。


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