Vol.6 石のインポーターのチカラ
~楽観的に行動し続けることでご縁を作りだす~
教えてくれた人
根岸 利彰(ねぎし としあき)
株式会社Face Creation代表取締役 /株式会社ミネラルマルシェ 取締役
大学卒業後、新卒で飲食店グループに入社。店長を経て、人事を経験。人事職でワイン輸入販売会社に転職後、キャリアカカウンセラーとして独立。3年目には石の小売を兼業で始める。現在は、代表取締役を務める株式会社Face Creationで石の輸入卸売・小売をする一方、ビジネスパートナーとともに立ち上げた株式会社ミネラルマルシェで全国のミネラルショーのイベントオーガナイズを行っている。
<インポーターとして大切な能力は何ですか?>
1 行動する力 行動力
不確実でもともかく行動する、それが、数々のご縁を作ってきてくれたと思います。
エチオピアとの出会いは、もともと前々職の飲食店の仲間経由で、その店で働くエチオピア人が、チタンを売りに来たことからでした。チタンは難しいので、エチオピアオパールはないのか聞いてみたら、彼が後日何人もエチオピア人を連れてきたんです。ワイワイみんな話すものの、オパールの値段もよくわからない素人の人たちで、僕もビジネスとしては最初難しいなって思っていました。そうしたら、彼らに「一緒にエチオピア大使館に行こう!」って急に言われたんですよ。僕は「行くのはいいけど、何もできないよ」と言ったのですが、飲食店で働く彼が僕のことを大使館側に「ミネラルショーをやっている人なんだ」と熱心に説明したらしく、大使館側もすごく興味を持ってくれ、なんだかよくわからないけれど大使館に行く、という展開になりました、笑。後から知ったのですが、実はその彼はメディアを通してエチオピアと日本を結んでいる結構すごい人だったみたいなんですよね。
大使館に行ったら、なんだか大使にもとても気に入られ、「エチオピアは良質なオパールがあるからオパールを売ってくれ」「じゃぁいつ行くんだ、エチオピアに」という話になり、いつ行くんだって言われても、僕もまさかそんな展開になるなんて思ってもいなかったので正直戸惑っていました。でも、エチオピア人たちにも「そうだそうだ、ネギシこんなチャンスはないぞ、大使がこう言ってくれているんだ!」って言われて、笑。確実なものは何もなかったのですが、「まぁいっか、いってみるか」って。英語も得意なわけではなく、直前のスピードラーニングと隙間時間の単語・熟語学習のみで、通訳もなしでしたが、でも人間って必要になればできるものなんですね、笑。エチオピアでは大使館が全部段取りをしてくれていたので、どこに行っても、みんなが僕にオパールを勧めにきてくれ、最終的にはエチオピア大使館のバックアップと政府の公認の元、信用のおける一社からエチオピアオパールを仕入れることができるようになりました。
自分でも驚きですが、完全ノープランでも、行動すると道は開ける物ですね。ただ、わからないなりにも「エチオピアに日本人はあまり行っていないな」みたいな感覚はあったので、そこには何かバリューにつながるものがあるかもしれない、みたいな勘だけで行動していましたね。
2 楽観性 楽観性
行動力にリンクする力ですが、「どうにかなるだろう」と楽観的に思える事も、大事かなと思います。
メキシコオパールを初めて入手した時は、実は友人の元彼氏のメキシコ人に会いにメキシコに行くという半分観光旅行みたいなものでした。メキシコは石もあるので興味はあったものの、渡航前は石についての情報は何もなく、ただ一つだけ、「メキシコには銀細工で有名なAさんという日本人がいて、彼は個展をやっていて、どうやらお酒の好きな人らしい」という情報だけは入手していたので、Aさんへの御土産にお酒だけは用意していきました。「石に出会えるかどうかはわからない、でも石のあるメキシコに行く、まぁどうにかなるかな」みたいな非常に楽観的な感覚で旅立ちました。
メキシコに着き、友人の元彼氏に相談したものの、彼は何も石の情報を持っていませんでした。そこで、Aさんの個展に行ったところ、その日の晩、僕のホテルの部屋で、二人でお土産のお酒を飲むことになりました。Aさんに「今回は滞在期間が短いからともかくオパールの源流に早く行きたいんです」ってダメ元で相談したら、なんと鉱山の場所を特別に教えてくれたんです。でも、広大なメキシコは移動時間もかなりかかります。ちょうど次の日が、鉱山主たちがマーケットを開く日だったので、その日の晩、夜行バスに乗り、途中からはマーケットの場所を知っているというタクシーの運転手さんを紹介してもらい、どうにか次の日の昼にたどり着くことができました。マーケットは、ものすごく安くって、バーッと買い付けてくることができました。
Aさんの情報以外は何もない、ほぼ何の保証もない珍道中が、無事買い付けになったんですよね。まったくもって偶然の連鎖でしたが、どうにかなるかな、みたいな楽観性がなかったら、メキシコにもAさんのところにも、夜行バスに飛び乗ることもなかったかもしれませんね。
3 多様なものを受け入れ、飛び込んでいく力 多様性理解 好奇心 受容力 親和性
外国人と接するにつれ、彼らを受け入れ、オープンマインドで懐に飛び込むことは大事かなと思うようになりました。
ドミニカとのつながりのきっかけは、実は日本のフリーマーケットで出会ったペルー人でした。彼は僕の店の軒先で、シンキングボウルという商品をいたく気に入ってずっといじっていました。そんな彼に僕の方が興味を持ってしまい、「じゃぁ、それをあげるよ」って彼にあげたら、彼にはドミニカ人の彼女がいて、なぜか一緒に彼らの家で食事をすることになりました。彼ら最初はとても貧しかったらしく、二人の苦労話を聞いたり、どうしたらみんなハッピーになれるのかを一緒に考えたりしました。何度か遊ぶようになった頃、「そういえばドミニカにはラリマーっていう石があるけど、ラリマーの石はないの?」って彼女に何気なく聞いたんです。そうしたら、彼女も知らなかったのですが、彼女のおじさんが偶然ラリマーの輸出商をしていたことが発覚し、今彼女のおじさんルートで質のいいラリマーを直接輸入しています。
どこに行っても、僕は単純にものすごく現地の人に興味を持っちゃうんですよね。彼らのことが知りたくて、仲良くなりたくて、できるだけ片言でもいいので現地の言葉を使うようにしています。同じものを食べて一緒においしいと思ったり、一緒に色々なことをしたり、彼らの習わしにも適応し、溶け込むことを楽しんでしまうんですよね。
日本人に対しても興味を持つのは一緒ですが、外国人はよりストレートでフラットなので、僕も「〇〇が食べたい!」「△△に行きたい!」って、思いっきり素直に甘えてしまいます。だからからか、彼らも僕に気を遣うこともなく、仲間のようにどこに行っても接してもらえ、皆との別れが毎回惜しくなってしまうほどです。
~郷に入っては郷に従え、どこの国に行っても何人に対しても、興味を持って相手の懐に飛び込めるグローバルな親和性~
<なぜ石の商売をしようと思ったのですか?>
キャリアカウンセラーで独立し、仕事にやりがいは感じていましたが、以前から「形のあるものの商売をしてみたい」という気持ちも実は自分の中にはありました。それは、前職のワインの輸入販売会社時代に、「モノを売るって面白い」「日本にない珍しいものは、そこに価値が生まれるんだな」ということを実感していたからなのですが、まさかその頃は自分が石の商売をするとは思ってもいませんでした。
最初の石との出会いは、たまたま自分が客としてパワーストーンショップに行ったことでしたが、正直、「新鮮だな」と思うぐらいで、あまり商売として成り立ちそうには思えませんでした。
でも、趣味で石に少しずつ興味を持つうちに、石が好きな方は、カウンセリングを利用するような悩みを抱えている方が多いことに気づきました。カウンセリングだけでビジネスをするのは難しくても、石という商品を介在させたなら、石を販売しながら、自分のカウンセリングスキルを結びつけて人に喜んでもらえる仕事、やりたい商売もできるかもしれない、と思うようになりました。
実は最初、業者の人に、小売りを始めるには、結構な金額が仕入れや店づくりのために必要だと言われ、そりゃ無理だなと諦めかけたんです。そんな時に、たまたま今のミネラルマルシェを一緒に経営しているビジネスパートナーに出会い、彼との出会いが僕の人生を大きく変えました。
「実は石というのは、ちゃんと上流、つまり石の原産地や大元まで遡れば、安い価格で仕入れることも、適正な価格で販売することもできるんだよ。でもなかなかみんな上流まで行かないんだよね」と彼に言われ、「それなら、上流まで僕が行ければ、後期参入の僕でも勝ち目は少しはあるんじゃないか、商売を始められるんじゃないか」と思ったんです。
それで彼から、石を100万円分くらい仕入れ、キャリアカウンセラーと兼業する形でビジネスを始めました。でも、一年やってみて、どんなに安く仕入れたとしても、並み居る先輩からお客さんを奪うのは難しく、独自ルートでもない限り小売は厳しいことに僕は気付きました。日用品のように需要が大きくはない、ニッチな商材なため、マーケットも小さいですし、駆け出しの僕に信用なんてなく、新参者の僕は展示会に参加することもできませんでした。
小売りの壁にぶち当たる中、僕は「マーケットを作る方に回らないと、埋もれていくだけだな」と思いました。それで、商品の仕入れ先だった今のビジネスパートナーに「マーケットを作りましょうよ、展示会をやりましょうよ」って声をかけたんです。僕と同様に展示会に参加できない小売業の人たちから沢山相談を受けていた彼も考えに考えてくれ、ミネラルショーを開催するための株式会社ミネラルマルシェという会社を二人で立ち上げることにしました。この時点で、僕はキャリアカウンセラーとの二足の草鞋を辞めました。本腰を入れなければ、とてもできないことに二人で挑もうとしていたからです。
最初のミネラルショーは、僕らの地元の埼玉で開催しました。イベント運営は素人だった僕らですが、新たなミネラルショーの出現に、業界も注目してくれました。「地方にミネラルファンを作って、活性化させよう」と烽火をあげ、新潟、長野にも進出し、今ではなんと全国で年間12開催まで実施できるようになりました。地方第一弾だった新潟の頃は、知り合いに「僕ら業界のために頑張るから、初期投資だと思って出店してほしい」と頭を下げに回って、どうにか出店してもらったのですが、今はイベント開催の告知をすると、小売業の方から参加申込みが御蔭様で自然と入るまでになりましたね。
ご縁がご縁をつなぎ、テレビ局さんや百貨店さんからもミネラルショーの開催をご依頼頂けるようになり、想定外の発展をミネラルショーはさせてもらっています。
無知から始まり、ただ小売りをするのでは儲からないことを悟ったところから、また新たな連鎖が始まりました。
~ラブラドライトのブレスレットをつけるようになってから、扉を開けるとその次の扉が待っている、そんなキャリアの展開が始まった~
<仕事内容を教えて下さい>
今僕がしている仕事は大きく分けて3つです。
1つ目はミネラルショーのオーガナイズです。自分の商売のためのマーケット作りをしようとしたことが、結果ミネラル業界全体のインフラ作りみたいなことに発展しちゃったのですが、いつからか「この業界のために」みたいな使命感をおこがましいんですが、持つようになっている自分がいます。まさにプランドハップンスタンスですね。
2つ目は、インポート・バイイングと卸売です。エチオピアやメキシコのオパール、ドミニカのラリマーなどの現地の良質な石が主ですが、ミネラルショーを通して小売店さんとも信頼関係が築け、卸売りもできるようになりました。「日本にはないな」「売れる適切な価格設定ができるか」の視点は仕入れで大事にしていますね。
「必要のないところ(それほど価値がないところ)」と「必要なところ(それに価値を感じているところ)」を結び付ければ、そこに商売が生まれますよね。
3つ目は、小売りです。ミネラルショー以外でも、ショッピングモールや大手小売業などでも催事販売させてもらっています。海外で仕入れたアクセサリーや雑貨などを販売することもあり、ちなみに去年の夏は韓国で仕入れたクリスタルドームピアスというアクセサリーが大ヒットしました。小売りをすることで、商売のご縁も広がり、トレンドや最適な価格設定にも敏感になれるので、この3つを今はバランスよくやっています。
催事販売でもリピーターのお客様も多い(上)、昨年の夏大ヒットしたクリスタルドームピアス(下)
<一日の仕事のスケジュールはどんな感じですか?>
9:00-11:00 ミネラルショー関連メール確認、対応。その他海外への発注業務。
11:00-12:00 商品梱包及び発送。
12:00-13:00 昼食及び移動。
13:00-19:00 各催事もしくは店舗にて販売業務、また各種打ち合わせ。
19:00-21:00 事務所にて販促物の校正など事務作業。
21:00 帰宅
<仕事のやりがいや面白みはどんなことですか?>
誰も持っていないものを輸入してきて、すごいね、とか言われた時は嬉しいですね。知らない土地に行き、本当に手探りで、突破口を見つけ、現地の売り先のコアなところまで行き、日本にないものを輸入してくる、そのダイナミックさには興奮を感じる部分があります。
石以外でも、例えばこのドイツのビタジュエルという商品は、水の中に入れると、水の味が変わるという、ちょっとスピリチュアルな商品で、パッケージもおしゃれで、セラピストの友人のところでみて、ピンと来たんですよね。直後にイベントでドイツに行き、幸運にも偶然大元から仕入れることができました。日本のヒーリングショップとかに卸していますが、それなりにいいお値段にもかかわらず、これが結構売れるのです。日本では僕ぐらいしか輸入していないですが、そんな風に自分の感覚を信じて仕入れた商品が売れた時はやっぱり嬉しいですよね。
イベントでも前例のないことをやって、皆さんに面白いと思ってもらえた時は嬉しいですね。例えばミネラルショーも以前はマニア向けだったので、一般のお客さん向けにテレビCMをうつなんていう概念は全くなかったのを、CMを打ったら、集客につながったんですよね。恐竜展の一角で実施したミネラルショーの中で子供向けの宝(石)探しイベントをやったり、ガチャガチャで販売してみたり、ヒーリングのイベントを併設してみたり、新たなものを取り入れて、何か変化に関われるのはやりがいになりますね。
値段の割に結構売れているビタジュエル(上)、斬新なアイデアで集客につながった恐竜展の宝探し(中央)とガチャガチャ販売(下)
<今までで最も大変だったこと、そして一番嬉しかったことは何ですか?>
僕は無知なままこの商売を始めたわけですが、やはりバックボーンがない僕がお客さんを作るのは本当に大変で、ミネラルショーの収益もまだない頃は、年の瀬に二千円しかなくて、年末なんとか露店で5-6万稼いで年越ししたこともあったんです。今でも決してお金が楽なわけではないですが、ようやくビジネスが回り始めてきた感じです。
この数年間は本当に自分の人生の中でもお金に関してはどん底も見ました。ゲリラ出店みたいなこともしたり、お祭りに出たり、やれることは何でもやったのですが、石の仕入れ先であるミネラルマルシェのビジネスパートナーへの支払いがきつい時がありました。払うお金もないから、彼から商品も仕入れず、なんとか不良在庫を売ってしのごうとしたものの、彼に対しての支払いがたまってしまって。苦労人の彼はそんな僕の状況も気持ちもよくわかっていて、「根岸さんの今までの支払いは、ミネラルマルシェの方で給料もまだ払えていないし、そっちの給料と相殺させて。仕入れないと売れないから、だから、仕入れてくれ」って、言ってくれて。たかが30-40万のお金を支払えないことは自分でも本当に恥ずかしくて情けなかったのですが、そこでようやく商売を立て直すことができました。支払いができない時は本当に辛くって、それが自分の心を蝕んで、自分を前に進めなくさせるということを実感しました。
とても辛い経験でしたが、同時に忘れることのできないものすごく有難い経験でもあり、だからこそ、彼に仕事でその恩を返していきたいという気持ちがあります。それとともに、僕もいつかそうやって頑張っているのに困っている人の力になれる人になりたいなと強く思うようにもなりました。儲かるだけのために商売をしてはいけないと思わせてくれた僕の今の商売の原点かもしれないですね。
僕がビジネスしている国の人はあまり豊かな国の人ではないので、難しいことではありますが、僕とのビジネスによって、少しでも豊かになってくれたら、とは本当に思っています。
彼らがいい商売ができて喜んでくれたり、僕を必要としてくれるのもすごく嬉しいです。だからこそ、僕も商売はさせてもらうけれど、誠意は示さなくてはいけない、絶対に搾取なんてしてはいけない、ちゃんと還元してあげたいと思っています。今も一生懸命エチオピアオパールのプロモーションを頑張っているところです。
イベントオーガナイズする時も、出店者の人が商品が売れて喜んでもらえるように、努力はしますね。自分たちの儲けだけでなく、先に僕らが与える側にならないと、与えてくれるようにはならないですよね。そういうのは信用につながっているかもしれないですね。
そういう思いを持てるのは、ビジネスパートナーに僕が救われたことがやはり大きいです。辛くても本当に幸せな4年間だと思います。好きなことをやらせてもらえて、人に支えてもらって、人とのご縁が持てて、本当に有難いことですね。
希少価値が高いブラックオパール(上)、今はエチオピアオパールのプロモーションに奔走()
<石に関わる仕事の未来はどうなっていくと思いますか?>
マニアックな世界なので、裾野自体の限界はあるなと思う一方、ヒーリングやスピリチュアル、雑貨と絡み合って、ニーズは上がってきているので、可能性は感じています。
石のマニアを増やすとかではなく、形を変えて人の生活に溶け込んでいく、それがインテリアなのか、ファッションなのかわからないですけど。まだまだマーケットは広がっていく、面白い素材かなとは思っていますね。融合させていくのは僕らの命題でもありますね。
<今の仕事と同じように向いていそうな仕事はありますか?>
人と関係を作って、何かを伝えていく、一緒に頑張っていく、成長していくみたいなことは好きですよね。先生とかそういう仕事は好きだと思いますね。自分自身をさらけ出して、一緒になってやっていく、誰かの相談に乗るのは結構向いていると思います。
キャリアカウンセラー舛廣純子の“仕事のチカラ考察”
「楽観的」で「行動力」があるからこそ、何も知らないところから石の商売の世界に飛び込めた根岸さん。でも、「楽観的」過ぎたが故に壁にぶち当たり、一時は追い詰められます。でも、そんな時も、自分の置かれている状況を客観的にとらえ、「柔軟」に立ち位置を変え、「やり続ける」ことができたからこそ、今石の商売で活躍することができているのだと思います。
彼も言っていましたが、彼のこの4年間はまさにプランドハプンスタンスの連続でした。それもそのはず、なぜなら、彼は「好奇心(多様なものに関心を持つ、新たなものに興味を持つ)」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「リスク・テイキング(結果が不確実でも行動を起こすこと)」というプランドハプンスタンスに必要なすべての力を発揮してきたからです。
話を聞く中で私にはもう一つ彼のプランドハプンスタンスに影響を与えた大きな力があるように感じました。それは「感謝力」です。「感謝力」が強い人は、人からの支援やご縁に深く感謝し、それをまた誰かに還元しようとする方が多いな、とインタビューを重ねてきて感じています。誰かに感謝を還元しようとする彼をまた誰かが応援してくれる―今の彼のキャリアの好循環にはこの力が大きく働いているような気がしてなりませんでした。
ちなみに彼が以前受けた適職診断の一位は「バイヤー」だったそうです。バイヤー≒インポーターは「楽観性」「リスク・テイキング」「好奇心」がいかにも大事そうな仕事ですよね。彼のインタビューをして、バイヤー向きの人はもしかしたらプランドハプンスタンス資質の人が確率的に多いのかしら?と思わず考えてしまいました。
~プランドハプンスタンスセオリー~
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論。キャリアは偶然の出来事、予期せぬ出来事に対し、最善を尽くし、対応することの積み重ねで形成されているという考え。予期せぬ偶然の出来事をプランドハプンスタンスに変えるために、上記の5つの力を磨いておくことが大切であると言われている。